建築業界では今、「人が採れない」「若手が続かない」という声が全国で聞かれます。
チラシや求人誌を出しても反応が薄く、「昔のように紹介で集まる時代じゃない」と感じている方も多いでしょう。
そんな中で注目されているのが、Webを活用した“採用の仕組みづくり”です。
今の職人志望者は、求人誌ではなくスマホで会社を探し、SNSで雰囲気を見て応募を決めます。
つまり、技術力よりも“伝える力”が採用のカギを握る時代。
この記事では、工務店がWebで優秀な人材を獲得するための具体的な方法を、初心者でもわかるステップで紹介します。
なぜ今、工務店の採用は“Web化”が必須なのか
ここ数年、多くの工務店が抱えている課題――それが「人が採れない」「若手が集まらない」という悩みです。
どれだけ技術があっても、人がいなければ現場は回りません。
しかし、求人誌やハローワークに掲載しても応募が来ない…。
その原因は、求職者の“情報の探し方”が変わったことにあります。
今の職人志望者、特に20代~30代は、紙の求人ではなくスマホで仕事を探します。
Google検索で「〇〇市 工務店 求人」と調べ、
InstagramやTikTokで“どんな現場なのか”“社長や職人がどんな人なのか”を見てから応募を決める――
これが今の採用のリアルです。
つまり、「見つけてもらえない=採用されない」 時代に突入しているのです。
紙の求人だけでは届かない時代になった理由
10年前までは、地域の求人誌やハローワークが主な採用手段でした。
しかし今、求人誌を手に取る若者はほとんどいません。
求職者の多くは、
「自分のスマホで見つけたい」
「会社の雰囲気をSNSで知りたい」
と考えています。
つまり、発信していない会社=存在していないのと同じなのです。
Instagramで「#大工見習い」「#建築現場」などのタグを検索すれば、
若手職人が自分の仕事を発信しています。
彼らに届くのは、求人誌ではなくSNS・Google・ホームページ。
だからこそ、工務店も“紙だけの採用”から“Web発信型の採用”へ切り替える必要があります。
人材不足の原因は「発信の少なさ」にある
「若手がいない」「応募が来ない」――。
実は、“人がいない”のではなく、“見えていない”だけかもしれません。
多くの工務店が、現場では素晴らしい仕事をしているのに、
その姿をWebで伝えていないのです。
求職者から見れば、
「どんな現場?」「どんな先輩がいる?」「雰囲気はどう?」
これらが分からない会社には、怖くて応募できません。
だからこそ、技術だけでなく“働く人や現場の空気”を伝えることが重要です。
それが「この会社で働きたい」と思ってもらう第一歩になります。
💡実践ポイント
- 現場風景をスマホで撮影してSNSにアップ
- ホームページに「職人インタビュー」ページを設置
- “未経験歓迎”の言葉を明確に打ち出す
“採用広報”で選ばれる会社になる考え方
これからの採用は、「応募を待つ」ではなく「見つけてもらう」時代です。
そのために必要なのが「採用広報」という考え方。
採用広報とは、求人広告のように“条件”を伝えるだけでなく、
会社の価値観・人柄・現場のリアルを日常的に発信していくことです。
- Instagramで「現場の1日」を紹介
- ホームページで「職人の成長ストーリー」を掲載
- LINE公式で「会社説明会の案内」を配信
こうした積み重ねが、会社の“信頼”と“共感”を生み、
結果として「この会社で働きたい」という応募につながります。
💡実践アドバイス
- SNS発信は「求人」より「紹介」を意識
- スタッフ全員で発信する文化をつくる
- “採用もブランディングの一部”という視点を持つ
まず整えるべき“採用の土台”はホームページ
SNSや求人サイトよりも先に見直すべきなのが、自社ホームページの採用ページです。
多くの工務店が「施工実績」や「会社概要」は充実している一方で、
採用情報は1ページだけ、しかも「給与と休日を載せただけ」になっていませんか?
しかし、今の求職者は条件よりも“どんな人と働けるか”を重視しています。
求人誌では伝えきれない“現場の温度感”を、Web上で伝えることができるのがホームページです。
求人ページを「会社紹介」ではなく「共感ストーリー」に
多くの採用ページが「会社の説明」で終わってしまっています。
ところが、応募者が知りたいのは、
「どんな現場なのか」「どんな先輩がいるのか」「どんな想いで家をつくっているのか」。
つまり、“人のストーリー”に共感して応募する時代です。
たとえば👇
- 社長や現場監督が「この仕事を続ける理由」を語るインタビュー
- 若手職人が「未経験から成長できた」エピソード
- 現場での1日の流れを写真付きで紹介
文章は上手でなくても構いません。
大切なのは、“どんな想いで家づくりをしているか”を自分の言葉で伝えること。
それが「この会社なら安心して働けそう」と感じてもらう一番のきっかけになります。
💡実践アドバイス
- 採用ページの冒頭に「代表メッセージ」や「社員の声」を掲載
- 「給与」よりも「やりがい」「働く目的」を優先して伝える
- 動画やスライド形式で“人の顔が見える採用ページ”に
施工実績ページが“職人の誇り”を伝える採用素材に
施工実績ページは、採用にも強力な武器になります。
なぜなら、求職者は「どんな現場で働けるのか」を見て、自分が働く姿を想像するからです。
ただ完成写真を並べるだけでなく、
「職人がどんな工夫をしたのか」「お客様の反応」など、ストーリーを添えると一気に魅力が増します。
たとえば:
「狭い敷地でも風通しを確保するため、現場で職人が寸法を微調整しました。」
「お客様が“職人さんが丁寧で安心でした”と喜んでくださいました。」
このように、“技術の裏にある人の想い”を発信することで、
求職者は「自分もこんな現場で働きたい」と感じます。
💡実践アドバイス
- 施工事例に「担当職人コメント」を添える
- 撮影時は“人”が写っている写真を意識的に撮る
- SNS用に使える「ビフォーアフター」素材としても活用
採用専用LPや特設ページを設けて応募率アップ
求人媒体やSNSからの流入先は、“採用専用ページ”に分けましょう。
一般の会社紹介ページに飛ばすと、求職者が迷って離脱してしまうからです。
採用LP(ランディングページ)には、以下の要素を入れると効果的です👇
- 写真とともに“会社の雰囲気”を伝えるビジュアル
- 「仕事内容」「1日の流れ」「成長できる環境」などの説明
- 「LINEで応募」「見学予約」など、簡単に行動できるボタン
特にLINE応募は、若手職人の応募ハードルを下げるのに有効です。
電話やメールよりも、気軽にやり取りが始められるからです。
💡実践アドバイス
- 「まずは話だけ聞きたい」など柔らかいCTA(行動ボタン)を設置
- LPの最後に「職人インタビュー」や「施工動画」を入れて信頼感を高める
- スマホで見やすいデザインにする(8割以上がスマホ経由)
SNSを使って“会社の空気感”を伝える採用戦略
今の若手職人や見習い希望者は、求人情報よりも“雰囲気”を重視して会社を選びます。
「この会社、現場の人が楽しそう」「社長がまじめで優しそう」――。
そんな“空気感”が伝わる発信をしている工務店は、採用でも強いです。
つまり、SNSは「求人広告」ではなく、“人柄を伝える窓口”として使うのが正解です。
難しいマーケティング知識は不要。
スマホ1台で始められる、工務店向けのSNS活用法を紹介します。
Instagramで「働く人と現場のリアル」を発信
Instagramは、工務店採用に最も相性が良いSNSです。
なぜなら、写真と動画で“人と現場のリアル”を見せられるから。
採用に効果的な投稿内容は、以下のようなものです👇
- 現場で働く職人さんの姿(安全・清潔感のある写真が◎)
- 完成現場のビフォーアフター
- 朝礼風景や作業後の笑顔など「日常の一コマ」
- 新入社員の紹介や歓迎会の様子
こうした投稿は、求職者に“どんな雰囲気の会社か”を直感的に伝えます。
また、リール動画(縦動画)を使うことで、より多くの人に届きやすくなります。
💡実践アドバイス
- 投稿頻度は週1回でもOK。大切なのは“続けること”
- 写真は「人物+現場」の構図で人の温かみを出す
- キャプション(説明文)は「どんな想いで取り組んでいるか」を一言添える
TikTokで若年層にリーチする“次世代採用”
TikTokと聞くと「ダンス動画」「エンタメ系」と思われがちですが、
実は建築業界でも若手採用の入り口として注目されています。
たとえば👇
- 「現場の1日密着」
- 「道具紹介シリーズ」
- 「大工さんの職人技!」
- 「失敗談や豆知識をゆるく解説」
といった投稿が人気です。
動画の再生回数が多いほど、地域の若手に認知されやすくなります。
また、TikTokで関心を持った人が、Instagramやホームページへ流れてくるケースも多く、
“SNS間の連携”が採用効果を高めます。
X(旧Twitter)で業界志望者とつながる
X(旧Twitter)は、情報発信とつながりづくりに向いています。
建築学生や専門学校の講師、同業の経営者など、業界全体と交流できるのが特徴です。
たとえば👇
- 「今日の現場の学び」
- 「新人教育で大切にしていること」
- 「安全意識の取り組み」
といった投稿を定期的に発信すると、「この会社はしっかりしているな」と信頼が高まります。
採用目的だけでなく、学校・他社・協力業者など、
“業界ネットワークのハブ”として使うことで、将来的な人材確保にもつながります。
💡実践アドバイス
- 投稿は1日1回以下でもOK。無理せず継続すること
- コメントやいいねを積極的に返すと、業界での認知が広がる
- 社長やスタッフが“中の人”として発信すると親近感が出る
求人媒体とWebを組み合わせた“ハイブリッド採用”
「SNSやホームページも大事なのは分かるけど、
まだまだ紙の求人誌やIndeedでの応募もある。」
──そんな工務店が多いのではないでしょうか。
実は、**最も効果的なのは“どちらか”ではなく“両方の組み合わせ”**です。
求人媒体で会社を見つけてもらい、Webで“信頼”と“共感”を生む流れをつくる。
これが今の時代の採用成功パターンです。
indeed・求人ボックスで自社ページを無料掲載
まず取り組みやすいのが、Indeed(インディード)や求人ボックスなどの無料求人検索サイトです。
これらのサイトはGoogle検索と連動しているため、
「〇〇市 大工 求人」と検索した求職者の目に入りやすくなります。
掲載自体は無料で可能ですが、差が出るのは“情報の充実度”と“更新頻度”です。
たとえば👇
- 募集要項だけでなく、「職場の雰囲気」「1日の流れ」を記載
- 写真を3枚以上入れる(現場・集合写真・作業風景)
- 月1回、文言を少し変えて更新(Googleが“新しい求人”と判断)
💡実践アドバイス
- 無料掲載でも「求人票+写真+会社リンク」で反応率が上がる
- 採用ページへのリンクを忘れずに設定
- 有料掲載に切り替えるのは“応募が安定してから”でOK
求人誌からの流入をWebで拾う仕組みを作る
地域の求人誌や折込チラシも、まだまだ一定の効果があります。
ただし、チラシで興味を持った人の多くは、その場でスマホ検索をしています。
つまり「チラシ+Web導線」が整っていないと、応募のチャンスを逃してしまうのです。
チラシや誌面には、以下のような工夫を入れましょう👇
- 「Instagramで現場の様子公開中!」
- 「会社の雰囲気はホームページでチェック!」
- 「LINEからカンタン応募OK!」
紙媒体で“きっかけ”をつくり、Webで“確信”を持ってもらう流れです。
紙で信頼を、Webで行動を――このセット運用が理想です。
💡実践アドバイス
- チラシにQRコードを設置し、採用LPやLINEに直接リンク
- スマホで見やすいページ設計にする(文字は大きめ)
- 「施工写真」「社員紹介」「代表メッセージ」をチラシと連動させる
Googleしごと検索(Google for Jobs)対策も忘れずに
Googleで「大工 求人」「工務店 求人」と検索すると、
検索結果の上部に“求人枠”が出てきます。
これが、Googleしごと検索(Google for Jobs)です。
実は、自社のホームページを少し整えるだけで、この求人枠に掲載できます。
Googleが情報を自動取得してくれるため、費用はかかりません。
対策のポイントは以下👇
- 求人ページのタイトルに「求人」「募集」などの明確なキーワードを入れる
- 給与・勤務地・勤務時間などを明記(Googleが構造化データとして認識)
- 仕事内容を具体的に書く(例:「木造住宅の建築・リフォーム施工」など)
💡実践アドバイス
- 更新日を表示して“最新情報”として扱われるようにする
- Indeed・Googleしごと検索・自社HPを三位一体で運用
採用後に定着させる“発信と社内文化”の作り方
採用に成功しても、すぐ辞めてしまう・続かないという悩みを抱える工務店は少なくありません。
原因の多くは、“入社後のギャップ”にあります。
働く環境や人間関係が見えず、入ってから「思っていたのと違う」と感じてしまうのです。
実は、この“ギャップ”を防ぐのも、発信の力です。
採用は「集めること」ではなく、「共感して入ってもらうこと」。
ここでは、入社後の定着と信頼を生む3つのポイントを紹介します。
入社後の教育・サポート体制を見せる
若手職人が長く続かない理由の一つが、「成長の道筋が見えない」こと。
入社してからどんなサポートがあるのか、どんなキャリアを歩めるのかを明確にしておくことが重要です。
たとえば👇
- 「入社1年目は先輩の現場サポートからスタート」
- 「2年目には小規模現場を担当」
- 「資格取得支援制度あり」
こうした内容をWebサイトやSNSで紹介することで、
「この会社なら安心して働けそう」と思ってもらえます。
💡実践アドバイス
- ホームページに「教育制度」「キャリアパス」ページを追加
- 研修中の様子をInstagramのリールで発信
- “育てる会社”というイメージを発信し続ける
社員インタビューや職人紹介で社内の輪を発信
求人広告よりも、“社員の声”のほうが10倍伝わると言われています。
特に職人の世界では、「どんな人と働けるか」が応募の決め手。
たとえば👇
- 「入社5年の大工が語る、この仕事のやりがい」
- 「女性スタッフが現場で活躍するまでのストーリー」
- 「親方と弟子の対談インタビュー」
こうした“人”を軸にした発信は、求職者だけでなくお客様にも信頼感を与えます。
また、インタビューの撮影や記事化を通じて、社員自身のモチベーションアップにもつながります。
💡実践アドバイス
- 毎月1人ずつ社員紹介コンテンツを更新
- 写真+簡単なインタビュー形式で十分
- 「人を紹介する文化」が採用ブランドを強くする
SNSと社内コミュニケーションをつなげる
発信を「広報担当の仕事」と分けてしまうと、長続きしません。
採用を成功させる工務店は、社員全員で情報を共有・発信する仕組みをつくっています。
たとえば👇
- 毎週1回のミーティングで「今週の現場写真」を共有
- 良い投稿は社内LINEグループでシェアして拡散
- スタッフ同士で「いいね」し合う文化を育てる
こうした“発信=チームづくり”の意識がある会社は、離職率が圧倒的に低いです。
社員が会社を誇りに思い、会社が社員を見せたくなる――
その循環こそが、採用の成功と定着の両立につながります。
💡実践アドバイス
- 投稿は「誰が」「いつ」「何を」発信するかをルール化
- SNSを“自慢の現場ノート”として使う
- 社内表彰や誕生日など、チームの温かさを発信
まとめ
職人不足の時代、採用の勝敗は「求人費」ではなく「発信力」で決まります。
求人広告を出すだけでは、もう人は集まりません。
SNSやホームページで日々の現場や人の想いを伝えることが、
“この会社で働きたい”と思ってもらう最大のきっかけになります。
まずは難しく考えず、スマホ1台でできる発信から始めること。
その一歩が、未来の職人との出会いにつながります。
採用広報を続けることで、「辞めない・育つ人材」が自然と集まる工務店へ成長していくはずです。
採用ページやSNS発信を整えたいけれど、どこから手をつけていいか分からない…
そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。
当社では、工務店・リフォーム会社専門のWeb採用設計を行っています。
ホームページの見直しからInstagram運用まで、現場に合わせた提案を行います。
📩 ご相談は無料です。
まずはあなたの会社の採用課題を一緒に整理しましょう。
